法隆寺近くの静かな住宅街に購入された、築40年の趣ある和風のお住まい。
施主様ご夫妻からリノベーションのご相談をいただき、数カ月のあいだ他社も検討された上で、当社の提案や実績、価格にご納得いただいて設計・施工を承りました。

築年数が古い家で気になることは、やはり耐震性です。
施主様も「安心・安全に暮らせる家」ということを一番大切に考えておられたため、耐震性能向上に予算を多く充当してリノベーション計画を立てました。

1階は、すべての床、そして天井も梁がむき出しになるまで解体し、土台から梁まで耐震壁用の筋交い・金物をつけました。外壁も、昔の家は竹を編んで土壁に仕上げるため、耐震性はとても弱くなっています。
そこで耐震壁にする部分は全てばらし、補強の筋交いを入れた耐震壁を家全体で20枚ほど造りました。
また、耐震補強でめくった床や壁、天井の入れられるところすべてに断熱材を入れ、結果として断熱対策も取ることができました。

1階には、床の間と仏間、広縁もついた本格的な8畳の和室があります。
既存住宅ではふすま4枚分あった広い開口部の両端を構造壁にして、2枚の引き戸で開閉する形に改修。これによって家の中央を支える構造壁ができ、耐震性がかなり向上しました。

構造壁を含むすべての壁を左官屋さんが塗り直し、天井は洗いをかけ、畳を新しくしました。すると、昔の座敷の落ち着いた雰囲気はそのままに、明るく気持ちのよい和室がよみがえりました。

8畳の座敷の奥は、以前は続き間となる6畳の和室とダイニングキッチンがありましたが、15畳のフローリングのLDKにリノベーション。
施主様に大変喜んでいただいたのが、リビングとダイニングキッチンの間仕切りとなるスクリーンウォール(引き戸)です。
扉は上から吊っているため床にレールがなく、開け放つと広々とした空間に。閉じても圧迫感がなく、明るさや人の気配が伝わります。

お住まいのある地域は斑鳩町の街並み保存の区画内にあり、外観を法隆寺の街並みにあうように改装し、様々な条件をクリアすると補助金を受けることができます。
外観は、塗装や窓の色、格子を採用したデザインなど、施主様と打ち合わせを重ねながら街並みにあうように計画し、申請をおこないました。

完成後、家を見に来られた施主様が、新しく生まれかわったお住まいに驚かれて、「お願いしてよかった。実は10年ぐらい住んで、また建て替えようと思っていました。これならずっと住み続けることができます」と、大変喜んでくださいました。
何よりも耐震を重視した上で、ご夫妻に気持ちよく住んでいただきたいと検討を重ねたリノベーション。喜んでいただいて何よりです。